[考察]The Unfinished Swan【※注:ネタバレあり】

2023-01-23

ご案内

お越し頂きありがとうございます。
先日『The Unfinished Swan』( 開発:Giant Sparrow / SIEサンタモニカスタジオ
発売:アンナプルナ・インタラクティブ )をプレイしたのですが…

いまいち製作者の伝えたかった事を受け取りきれてない気がしたので、
物語全体を見直してみました。
合ってる・間違っているはともかく、皆様のご理解の手がかりになれば幸いです。

なお内容の都合上、多くのネタバレが含まれますので閲覧にはご注意ください。
クリア後の閲覧を強く推奨します。

(そして時間が割けず、文末や記事の展開がまとめきれてない事をお詫びします。
 それでもよろしければお読みください。)

ネタバレ回避用スペース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白鳥のシンボル

渡り鳥で、時期的に春の到来と一致するため「光や優美さ・物語の始まり」を連想させる。

夫婦・親子の絆が強い鳥で、つがいは夫婦どちらかが死ぬまでパートナーを変える事がない事から
「忍耐・永遠の愛の象徴」となっている。

このゲームのテーマ

同じチームが制作した『 フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』(昨年プレイ済み)も合わせて考えると、このゲームのテーマは「世代交代」「私達は何を残せるか?」ではないでしょうか?

永遠に続くものを作り残すのは難しい。
私達の作った物は、次の世代がより良い物を作るため、壊されていくが
それは受け入れるべき事だ。

そして、その事について気にせず、作る事の楽しさを大事にしてほしい。

王の最期の言葉より…
「自分の作ったものが壊れてしまう悲しさよりも
 自分が何かを作る事が好きだった事に気づいた」

時系列整理

ゲームスタート前

<パート1~2>
昔、若く傲慢の王様がいた。
完璧な王国をつくりたかったが、 全て未完成に終わってしまった。

<パート3後半から>
そこで昔ながらの方法で「自分の証を残そう」とした。
家族を作り、自分の跡継ぎを残したかった。

奥さんの絵を描いたら、女性となった自分がいた。
(つまりモンローの母は王様の半身で、どんな作品を残しても未完成になってしまう)
王様は王妃へ銀色の絵筆をプレゼントした。


王様は 王妃が家を出た後から 絵を完成できなくなった。
そして夢すら完成できず 夢から出られなくなった。
→モンローを育てるために 王妃側に意識を向けたので、
 半身である王は 動く事ができなくなったのでは?

そして半身であるモンロー母(王様の半身)は、
モンローを出産し育てた(正直、よく育てられたと思う)。

しかし王様も人間で寿命があり、そして最期の時が訪れた。
先に半身である王妃が亡くなった。
モンローは独りになり、銀色の絵筆が手元に遺され、未完成の白鳥の画を持って施設に入った。

自分が死ぬこと、そしてモンローが独りになる時がいつか来る事を予見していた王妃は
王へと続く道として未完成の白鳥の画を遺しておいた。
(白鳥はモンローを、眠り続ける王様(父親)の元に導く役割。)

ゲーム本編

モンローは夢の中で白鳥に導かれ、銀色の絵筆を持って扉を出るが
実はどこにも行っておらず、夢を見ているだけ。モンローは夢の中で、王(父親)に会っている。

モンローは夢の中で白鳥に導かれ、父の過去に触れ、やがて父の元へ。

半身である王妃が亡くなったため、王様は夢を終わらせる事ができ
長い眠りから目覚め、最期に息子と少しだけ言葉を交わす。

そして 本来の持ち主から自分の息子へ銀色の絵筆を託し、
「幸せになってほしい。
 そして、いつか父を超えた存在になってほしい」と伝える。


空虚になっていたモンローは、未完成の白鳥の導きを経て、
自分自身が愛され、望まれていた存在である事を知る。
夢から目覚めたモンローは疲れ果てていたものの、両親の意志をついで、
白鳥の画を描いて完成させた。

銀色の絵筆は王妃が遺したもので、モンローの手元にある。
大事なポイントはゲームを通して「その絵筆は本来の持ち主である父親から託されたものになった」という事。
 
エンディングの一文を、より正確にするなら
「(夢から目覚めたモンローは)その夜、疲れきってはいたものの…」となるのでは。

そしてゲームを終えると…

…そして絵本を閉じると、本の裏表紙には王様のマークが。
何もかもを完成させる事が出来なかった彼だが、
最期に『The Unfinished swan』という未完成の絵本を描き
プレイヤーがそれを読む事で絵本は完成した。

彼は最期に作品を完成させたのだった。