#2:基礎練習ってしなきゃだめ?

2021-11-29

(この記事は、上記動画を文字化したものです)
こんにちは。ピアノ上手くなりたい伯父です。
今回のテーマは、こちら。

「基礎練習ってしなきゃだめ?」

ピアノを上手く弾きたい、上手になりたいと言えば、
返ってくるほとんどの答えは「まず基礎練!」。

前半では、そもそも基礎練習っていったい何だろう。
後半では、基礎練はしなければだめなのかについて一緒に考えていきましょう。

前半:そもそも基礎練って何だろう

では、前半です。
そもそも基礎練ってなんでしょうか?

まず、私の考える基礎練のイメージは
「自分の畑を耕すようなもの」と考えています。

基礎練のイメージ

家庭菜園を思い浮かべてみてください。
まだ何も手をつけていない荒れた土地。

大きな石をどけて、雑草を引っこ抜いて、耕して、堆肥を混ぜ込む といった
作物が育ちやすくする下地作りが基礎練のイメージです。


次は、耕した土地に種をまいたり、苗をうえていきます。
ピアノでは「譜読み」にあたります。試しにブルグミュラーやベートーベン、
ツェルニーといった種をまいていきます。

土を耕しているほど、良い作物が早く育ちます。
次は水やりをしたり、害虫を駆除したり、肥料を与えます。
ピアノでは「練習」にあたる部分ですね。

基礎練の質と量が増えていくと、家庭菜園が広くなりシューマン、ブラームス、ドビュッシーといった育てるのが難しい作物に少しずつチャレンジしたくなります。


そのうちに根が伸び、花が咲き、実がなります。
日々の練習が実り、1つの曲・1つの本が弾けるようになると自信がつき、
次はどんな種を育てようか楽しくなります。

最終的には家庭菜園とはいえないくらい巨木になるバッハ、ショパンなどは
早めに、広めに土地を確保して地道に大きく大きく育てていきたいですね。

少し話が壮大になりましたが、私の持っているピアノや音楽を育てるイメージは家庭菜園で、基礎練は土壌づくりになっているというお話でした。
この話は、またテーマに取り上げたいですね。

基礎練を音楽的に考えると…

では次に、基礎練を音楽的な意味合いで考えてみます。私は、基礎練とは、
星の数ほどある曲の中から取り出した要素をまとめたものだと考えています。

例えば、ここにAとBという曲があります。
この2曲にはハ長調の音階(どれみふぁそらしど)がよく出てきます。という事は、
よく出てくる部分を取り出して練習しておけばスラスラ弾けて気分も良いですね。

次に新しくCという曲を弾いてみたら、ここにもハ長調の音階が出てきました。
AとBの2曲で沢山練習していたので初めて触れたCも難なく弾けました。

こういった小さな積み重ねがまとまったのが
基礎練と呼ばれている動きになっていったのだと私は思います。

例えば、
 ・半音階(白と黒の鍵盤全てを1つずつ弾く)
 ・先ほども出てきた音階(スケール) ハ長調やイ短調など
 ・指かえ
 ・動かしずらい指を使う事であったり

少し難しい基礎練として
 ・アルペジオ(分散和音)
 ・トリルやトレモロ(同音反復)
といったものがあげられます。


ところで基礎練と聞くと、どうしても
 ・メロディーがなくて単調
 ・感情等はなく、機械的
 ・テンポをゆらさない

一言でいえば、「つまらない」といった印象を持つ方が多いのではないでしょうか。なぜ、
その練習をしなきゃいけないのかわからないと、あまりやる気が出なかったりしますよね。

そこで、私がすすめたいのが「基礎探し」です。先ほどの話でも出てきましたが
今、練習している曲や昔、練習していた曲を見比べて
同じ動きや似たような動きをしている部分はないでしょうか?

間違い探しをやるように、ゲーム感覚で探してみると意外とポロッと出てきたりします。

ちなみに、基礎練でおなじみの教則本「ハノン」をお持ちの方は
同じ動きが載っていないか調べてみるのも勉強になります。
気分が載らない時に試してみてはいかがでしょうか。 では、前半のまとめです。

前半のまとめ

 ・基礎練は、家庭菜園の土を耕すイメージ。
 ・基礎練は 星の数ほど存在する楽曲で よく使われる部分をまとめたもの
 ・今、練習している曲/昔練習した曲の基礎探しゲームをしてみよう
という内容をお話しました。それでは後半にうつりましょう。

後半:基礎練は、やらなければだめ?

では、後半です。後半のテーマは、こちら。 基礎練は、やらなければ駄目でしょうか。
私の答えは「できるなら、やった方が良い」です。

例えば、こんな方。
昔ピアノを趣味にしていたけれど、今はお子さん二人を育てているお母さんがいるとします。
日々の生活や子育てで忙しいなか、毎日10分だけはなんとかピアノを弾いて気持ちを安らげる時間を作っています。

そんな方に「基礎練しよう!」なんて私からは言いづらいです。せっかく確保した10分。
弾きたい曲を弾いてほしい。好きなように音楽に触れて日々の疲れから
少しでも開放されてほしいと思います。

ただ、そんな中でも基礎練をやった方が良いのは確かです。
なので私からは、弾きたい曲の調の音階練習を少しだけでも弾く事をおすすめします。

たとえば「エリーゼのために」ならイ短調の音階練習…だけでなく、
中盤でヘ長調の部分がありますので、ヘ長調の音階練習もしましょう。

※まだ音階練習にたどり着いてない方は、まずはたどり着けるのを目標にしてみましょう。


では、もう少し練習時間に余裕がある方はどうでしょうか?
私は、可能なら「練習時間の半分」を基礎練習にあてるのが良いだろうと考えています。

30分の練習時間だったら、10~15分ほど。
1時間の練習時間だったら、20~30分ほどを目安にしてみてはいかがでしょうか。

時間で区切らず、曲で区切るのも良い考え方です。
例えば、先ほどのように音階を2つ  + 練習曲から何か1つなどを
メニューにするのはいかがでしょうか。

ここで大事なのは基礎練習で力尽きない事です。
やっぱリ自分の好きな曲を弾きたいですよね。

気分や調子にもよりますので、いける時は多めに。
出来なさそうな時は少な目に、無理せず でも 毎日少しでも
コツコツやるのが大事だと思います。


私が子どもの頃を例にあげると、
ハノンの39番 新しい音階を2つ(長調1つ、短調1つ) プラス
11~20の運指から1つ がレッスンの課題になっていました。

たまには「もう1週、頑張りましょう」なんて言われて
ほんの少し、しょげる日もありました。今では良い思い出です。


最終的に基礎練習の時間は長くなると私は思います。
その理由は、自分の音の追求のためです。

こちらも後々テーマにする予定ですが、音楽を長く続けていたり、
プロを目指していると、いずれ「自分の音の追求」という壁にぶつかる事になります。

そのために、単調な動きである基礎練から
音質に意識をかたむけるようになるのですが、
この話はまた今度といたしましょう。

人それぞれ、基礎練のペースや質・量は変わってきます。
基礎練は確実に力になりますが、そのバランスには気を付けつつ、今日も音楽と
無理せず向き合ってみてはいかがでしょうか。それでは、今回のまとめです。

今回のまとめ

前半では以下の点についてお話しました。
 ・基礎練は、家庭菜園の土を耕すイメージ。
 ・基礎練は 曲のよく使われる部分を まとめたもの
 ・今、練習している曲/昔練習した曲の基礎探しをしてみよう

そして後半では
  ・できるなら、基礎練をしよう
 ・基礎練の質と量、バランスに気を付けよう
といったお話をしました。

ご覧いただいた皆様、ありがとうございました。
次回も見ていただけたら嬉しいです。
皆様の音楽活動が、よりよいものになりますように。

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